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コラム

ロード・オブ・ザ・ゴミ物語(1)

 

奈良県山添村の議員であり、「奈良ごみの会」副代表幹事の奥谷和夫氏が、我が社から「大和ゴミ物語」を出版された。
「国のまほろば」と称される美しい奈良と、廃棄物処分場やゴミの不法投棄等によって蝕まれていく奈良。これがこの本のテーマである。
そのような内容の「大和ゴミ物語」出版の趣旨に沿って、本の冒頭には「室生アートギャラリー」の協力により、奈良の美しい風景写真を使わせていただいた。
本来の奈良は、美しい風景、豊かな環境、様々な歴史遺産を持つ場所であることを視覚的に確認しておきたかったのだ。
これは出版の裏話になるのだけれども、快く写真を提供していただいた「室生アートギャラリー」オーナーの角谷信昭さんと、写真家の崎山寛道さんの美しい風景写真がなければ、この構想もただの絵に描いた餅でしかなかった。
もちろん、産廃処分場の不法投棄等により、その美しい場所がどのような惨状に成り果てているのか、そちらの写真もカラーで載せてある。
その「室生アートギャラリー」オーナーの角谷信昭さんと、作者の奥谷さんにざっくばらんに語り語り合っていただいた。
白と黒を基調とした、和風の趣のある建物。なかは天井も高く、非常にゆったりとしたスペースである。(*「室生アートハウス」パンフからの写真)

奥谷・以下O=角谷さん、このギャラリーはいつから始められたのですか?

角谷・以下K=去年の8月26日がオープニングセレモニー。27日から使い始めました。

O=もうまる一年なんですねえ。

遊絲社・以下Y=それまではどうなさっていたのですか?

K=サラリーマンをやっていたんです。大阪で勤めていました。途中で退職して、アートギャラリーを立ち上げたんです。

Y=こういうのをやりたいということで。

K=はい。以前から願望はありましたね。そして大和だけでなくもっと幅広いモノを出展できる会場でありたいと。
自分の作品を出したいと思っている方々もたくさんいる、そう思いましたね。

O=私がこちらに最初にお邪魔したのは今年の春でした。3月から4月ごろ。ぼくも、絵とか写真とかに興味があったものですから。2階にある展示品を見て下さいとおっしゃるので見せていただいて、それがはじまりでした。そこに、ぼくの村の山添村が写真があったのですね。今回、「大和ゴミ物語」にも写真を提供して下さった崎山さんの写真です。そういうことからここのオーナーの角谷さんと話をするようになったのです。

K=柿のある風景ですね。

O=そうです。その他にも山添村の写真がありましたね。
私としては、いつも見ている風景ですが、それが写真作品になるのだなと……!
それで名刺をお渡しして、この裏にあるゴミの山の話をしたのがきっかけだったですね。

K=初面識の奥谷さんにゴミの話があるんだよと、こういう本を出すのだよという話をうかがったわけですけれども、その中で僕ら自身も気になるものがあったんです。というのは、大和路をカメラアイレベルでモノ見ながらやっていると、かなりシビアに撮りづらくなっているのです。乱開発等によって、景観が損なわれてきているわけです。
写真を撮るものとして、仲間たちとともに最近特に危機感を感じてきていましたので、そういう話をする中でだんだん奥谷さんと親しくなっていきました。

いちめんゴミまたゴミの風景。
プラスチック、金属くず、生ゴミ、紙くず、あらゆる種類のゴミが散乱している。
右を見ても左を見ても、とにかく膨大なゴミの山だ。
カメラのフレーム内に全て入れるには、魚眼レンズでも持ってくるしかない。
(奥谷和夫氏撮影)

O=二度目にお邪魔した時でしたね。溝江さんのところで、本を出版するのだとお話しました。
国のまほろば(国の中で1番いいところ)というイメージでとらえられている奈良の景観と、汚くて危険なゴミに汚染されている実際の奈良という内容の本を出したいと。
しかし、国のまほろば奈良は、やはりただのイメージというだけではなくて、本当に美しい風景、美しい自然に恵まれた土地なのだと。ふさわしいものがあるよ。美しいものに戻そうじゃないかと。
そういうテーマで、カラーページを考えていたものでしたので、この飾られている写真を使わせていただけないかなと思ってお願いしたところ、快く、「どうぞ使ってください」と言って下さいました。

「大和ゴミ物語」制作の際に見せていただいたポジの中から、個人的にプリントアウトしていただいた写真。
(左)ポジを光に透かすと、雪の乗った枝葉の一枚一枚がしっかり確認できるピントの正確さに驚愕した。
じっと鑑賞していると、細かい葉の重なりのなかに心が迷い込んでしまいそうだ。
JPGで圧縮してあるために、こまやかな部分をお見せできないのが残念です。

K=ここの写真は素晴らしい写真ばかりですよ(笑)。奥谷さんを紹介いただき、風景の美しく良いところばかり撮って「大和路万葉集四季の道」などの写真集も出している藤澤修氏(日本写真家協会会員)らも、ゴミの問題を写真に撮りたいなあと言っていました。

O=最初、みなさんとお会いしましてねえ、知らない人たちばかりでしたのですが。

K=友だちになってしもうたねえ。

O=話をしているうちに周りの人が集まってきて、周りの人を巻き込んでしまってね。

K=だんだん寄ってきて、二つテーブルを使ってね。

O=そういう点では、本を作るという話がなかったら、そういう話もなかった。そういう点では、貴重な体験をさしてもらいました。

K=人間って、どういう形でつながるかわからんですね。

 

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