奈良教育大学での講演

今年の夏のことですが、奈良教育大学で講演をしてまいりました。
テーマは『地域における子どもの文化』です。
教員資格もない私には、思いもかけない嬉しいお話です。
テーマはずっとずっと考えていたことを出せば良い。それについては自分でも自信があります。ただ、心配はちゃんとお話できるかということです。心配は話の内容ではありません、声がちゃんと客席の後ろの方まできっちりと聞こえるかということ。
講演が決まった日から私のボイストレーニングがはじまりました。私のトレーニングはお風呂場で歌うこと。これはストレスの解消にもなるわとホクホクしていました。しかし、子どもたちが、「お母さん、近所迷惑なんじゃない!」と言います。なるほど、お風呂場では、あちこちに聞こえます。雨戸を閉め切って歌うことにいたしました。冷房は声を傷めるということで、暑い中を冷房もかけずに頑張りました。 (;^_^ A
そういった障害? にも負けず、さて当日。
とうとう憧れの象牙の塔へ足を踏み入れてまいりました。8月11日(月)、私の記念すべき日です。長く、私の記憶にとどめておかなければなりません。 (o^^o)y それは暑い暑い日でございました。
奈良教育大へはバスで、広大な奈良公園を右に見て走り、次は左側に氷室神社、春日大社などを見て走っていくのです。歴史の中を通り抜けて高畑町へ到着、バスを降りたところが奈良教育大の前です。「凄いな〜、大学校の前にバスが停まるんだ〜」
奈良教育大の校門を覗くと、木々の緑が生い茂っているのが見えます。
私が卒業しました小学校、中学校、高等学校と比べてみましても、素晴らしく広い敷地に、ゆったりと建物があるという感じです。私の子どもたちの通っていた中学校なんか、ひどいものです。灰色のコンクリートの塀と、同じく灰色の建物。外国の学校は知りませんが、日本の学校は寒々とした風景です。義務教育過程の小、中学校が、奈良教育大くらいの環境にあればどんなに良いか、と思いました。子どもの教育をするところには、お金を掛けていただきたいものです。
それはさておき、私は、ここで講演するのでした。まず記念にと正門の前で記念撮影。

奈良教育大の校門

正門を入りますと、余計に木々の緑が多いことが感じられます。学問をするところに相応しい環境です。「大学っていいところだな〜、私も大学で学んでみたい……!」
さて演題は、『地域における子どもの文化』です。

授業風景その1

ここでの受講生の皆様は、教育委員会の面々、校長先生の皆々様に、図書館や公職の方々です。いつもの受講生と勝手が違うのではないかと、危惧していましたが、それは熱心にノートを取っておられる方や、頷きながら、笑いながら聞いて下さって、嬉しかったです。

授業風景その2

終わった後、演壇の周りに何人かの方がきて下さって、取り上げた本の出版社名などなどを聞いて下さったり、なかなか話もはずみました。
帰りは話し込んでいましたので、もう夕方。
帰りのバスからは燈花会(とうかえ)のろうそくの明かりが薄やみの中に、見はるかすかぎりずっと広がっています。電気ではなく、一つ一つの明かりがろうそくだというのは、いかにも奈良ですね。
思いもかけない静かな明かりの響宴にあずかって、奈良の闇と輝きの対比を楽しむこともできました。
ちなみに『なら燈花会』は、8月6日〜15日まで、浮雲園地、猿沢池、浮見堂、浅茅ヶ原の四つのエリアが、ろうそくの明かりで彩られます。



2003年10月5日  溝江玲子


玲子のプロフィール

溝江玲子 山羊座で12月27日と暮れも押し詰まった大変忙しい時期に生まれました。
昭和12年、旧満州国奉天に生まれて、上海に育ち、終戦後に大連から引き揚げてきました。もう、戦争はこりごりです。
職業はと聞かれると、答えがいく通りもでてきます。一番格好よく答えると、作家かな。それから、7年前立ち上げた遊絲社(ゆうししゃ)という出版社の代表です。
趣味は読書とお絵描き、素材のページのキャラクターの原画も描いています。
へこんだときに呟く言葉は「人間 万事 塞翁が馬」。これで、幾多の試練を乗りきってきたのです。

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