『おっぱい いっぱい』出版の巻

溝江玲子の赤ちゃん絵本『おっぱい いっぱい』が、チャイルド本社さんから出版されることになりました。

とっても可愛らしい絵は、いるまがわゆりこさんの手によるもの。
実は、出版が決まったのは2004年の秋、今から1年半ほど前のことになります。出版は、チャイルド本社さまのほうに原稿をお送りしたその翌日に決定しておりました。絵本部長さんから直々に出版決定のお電話があったのです。
その日から数えて、1年半です。
1年半といえば、日数にして、えーと1年が365日だから……う〜んと、う〜んと、547日と半分!(半分って……)。
おおよその計算ですが、出版が決定してから、これだけの熟成期間をかけて産まれた絵本です。
日本酒でも半年程の熟成期間でお店に並びますから、1年半とは、なかなかの日数です。
「どうして出版されるのがそんなに遅れたの?」と思われるひともいるかもしれません。しかし、本作りというのは---特に絵本は---たっぷりと時間をかけて作るものなのです。
例えば、今回のチャイルド本社さんは、「出版は文化財である」というポリシーをお持ちです。
ちょっと、みなさん、どうですか?
「出版は文化財である」なんて、身が引き締まります。
なみたいていでは、「文化としての絵本」は完成しないということなのですね。
もちろん、絵本はお酒のように寝かしているだけでは出来上がりません。
担当編集さんのKさんと、画家のいるまがわゆりこさん、そしてときには絵本部長さんと、日々打ちあわせ。
普段は電話&ファックスでのやり取りですが、東京で、絵本部長さんと会って色々お話もいたしました。その日数が積み重なっての、547日と半分(笑)です。
ワタクシ溝江玲子、「文化財としての絵本づくり」を理想に掲げ、この日数を全力で駆け抜けた、もとい、執筆させていただきました。
また、出版社であるチャイルドさんには、出版の「年間計画」がありまして、2004年の秋には、もう2005年度分4月〜3月までの1年ぶんの出版目録ができあがっていました。
これまた、すごいですね。
私の原稿は、その次の2006年度になるのです。そういうわけで、『おっぱい いっぱい』は、今年の春まで待つことになったのです。
さて、実は、チャイルドさんにはふたつの部門があります。
保育園に通うお子さん・幼稚園に通うお子さん向けに月刊絵本を出版している「チャイルド本社」と、書店などで市販をする「ひさかたチャイルド」の2部門です。
今回の『おっぱい いっぱい』の出版は、保育園・幼稚園向けの月刊絵本という形式で発行されたチャイルド本社」さんの絵本です。号数は、2006年の5月号です。
もちろん、『おっぱい いっぱい』は、この「絵本工房」サイトからも購入できますし、Amazonなどでも購入できますから、私たちが普段想像する月刊雑誌、というものとは少し形態が違うのですが、ともかく、保育園・幼稚園の子どもたちに向けて作られている月刊絵本のなかの一冊、として発売されました。
さて、みなさん。
いよいよ5月です。
5月号『おっぱい いっぱい』の船出だと浮かれておりましたら(春の陽気のせいではありませんよ)、さらに加えて、とっても素敵なニュースがとびこんできました。
なんと、『おっぱい いっぱい』の各保育園・幼稚園での評判がよく、急きょ、〈ひさかたチャイルド〉での上製本としての出版が決定したのです。
〈ひさかたチャイルド〉は、月刊絵本の中から、これはと思う絵本を選び、上製本にして出版することになっています。
5月号の見本誌が出たとたん、『おっぱい いっぱい』の上製本化が決定したとは、なんと嬉しいことでしょう! 
〈ひさかたチャイルド〉さんによりますと、毎月たくさん生みだされる月刊絵本のなかから、ずっと読みつがれる絵本を選んで書籍化されているとのことでした。
これを聞いて、桜の花と桃の花がいっぺんにひらいたような、そんな華やかな気分になりました。

来年の春には、『おっぱい いっぱい』の上製本が書店に並びます。
月刊絵本と上製本。ふたつの『おっぱい いっぱい』、どうか手に取って下さいね。


2006年4月27日  溝江玲子


玲子のプロフィール

溝江玲子 山羊座で12月27日と暮れも押し詰まった大変忙しい時期に生まれました。
昭和12年、旧満州国奉天に生まれて、上海に育ち、終戦後に大連から引き揚げてきました。もう、戦争はこりごりです。
職業はと聞かれると、答えがいく通りもでてきます。一番格好よく答えると、作家かな。それから、7年前立ち上げた遊絲社(ゆうししゃ)という出版社の代表です。
趣味は読書とお絵描き、素材のページのキャラクターの原画も描いています。
へこんだときに呟く言葉は「人間 万事 塞翁が馬」。これで、幾多の試練を乗りきってきたのです。

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