「遠嶺2006フェスティバル」に行ってきました
埼玉県のとある公民館で創作講座を受け持ったのが6月9日。
翌日の10日には、ソウルメイトSさんたちとお別れし、川越市まで出向いて「遠嶺2006フェスティバル」という俳句の一大イベントに出席してまいりました。
俳句とは、5・7・5の字数の中に文学的小宇宙を表現しきってしまうという、おっかないほどストイックな文学的様式を持つポエムのことであります……って、本当かなあ。
国語辞書で調べてみますと、
俳句【はいく】
(「俳諧の句」の意)もと俳諧連歌の第一句(発句)が独立してできたもの。元来は俳諧連歌の発句および連句の句をさしたが、明治にはいって正岡子規が発句のみを意味する語として使ってから一般化された。五七五の三句一七文字で完結するわが国独特の短詩で、季を入れるならわしであるが、季語の撤廃や定型を破った自由律などもみられる。
なのだそうです。
音の美しさ、独特のリズム、鮮烈な場面表現、これが(私にとっての)俳句の魅力です。
「蛙とびこむ水の音」
や
「岩に染み入る蝉の声」
や
「ダイコで道を教えけり」
という音を口の中で愉しみ、鮮やかに場面を思い描く。……すみません、自分でも何言ってるかよくわかりません(笑)。
私にはポエムを詠むようなセンスも感受性もなく、ましてや俳句のストイックさには「ちょっとおっかない」としり込みするばかりでございまして、ようは、川越市「遠嶺2006フェスティバル」は思いっきり場違いでありましょう。
ちなみに、
「春夏秋冬どれがすき? 夏が好き」
と詠んだのは、いがらしみきおさんのマンガの登場人物のらっこちゃんでしたが、どうもこれは、俳句とは呼べないようです。たぶん……。でも、この句(?)、私は結構好きですよ。
さて、無学/無教養を自らさらすのは、ほどほどにして。
実は今年の春に、小澤とくえさんの俳句と澤田展駒・芳慕さんの色鉛筆画のコラボによる『絵本のように』という句画集を、遊絲社から出版しております。
しあわせの 数だけ咲いて 秋桜(『絵本のように』より) |
不思議に何かを懐かしみたくなるような小澤とくえさんの句に、暖かみのある澤田夫妻の色鉛筆画がほどよくマッチして、なかなかの出来だと自負しておりますよ。
三毛猫も 暮らす蔵町 秋高し(『絵本のように』より) |
そして実は、6月10日に行われた川越市「遠嶺2006フェスティバル」は、小澤とくえさんの旦那様の、小澤克己様が主催されたものでございます。
……みなさん、もうわかりましたね(笑)。
この「遠嶺2006フェスティバル」は、
場違いでも何でも、俳句は一句たりとも詠んだことがなくても、遊絲社代表として、お声をかけていただいたという塩梅なのでした。
小澤克己先生は、NHK文化センター等の俳句講座の講師をなさっており、俳句誌『遠嶺』を主宰もなさっておられます。
というようなことは、俳句愛好家のみなさまはすでにご存知ですよね。大阪の心斎橋大学で、何人もの方から
「ええ〜! 小澤克己先生にお会いするんですかあ〜、うらやましい〜」
と言われて、ようやくその人気と知名度の高さに気がついたという……。
くりかえしすみません、じつに不勉強です、無教養です。
このフェスティバルは、『絵本のように』の出版記念会も兼ねておられましたので、こんな私でも、出席させていただくことができたという……。
本当に良かったのかしら? と、会場に着いてもおっかなびっくり。いつでも退散できるようにとエビみたいにへっぴり腰状態のまま、東武川越ホテルにお邪魔しました(フロントマンにまでぺこぺこしたりして)。
会場では、小澤克己主宰がお迎えしてくれました。
優しくエスコートされるままにメインテーブルに。俳句をたしなむ殿方はこのように紳士なものなのかしら。自分がスカーレット=オハラにでもなったかのような夢見心地を堪能させていただきました。
しかし、参加女性陣から、いっせいに鋭い視線が!
「見たこともない顔、いったい何者っ!」
……と思われたのかどうか。……たぶん私の自意識過剰だと思います。
たぶん、おそらく。
フェスティバルには、まなざし鋭い女性陣を含め、135名もの方がご出席でした。
豪華なお料理、お料理、お料理!
これ、ぜんぶ食べていいのかしら(笑)。
初夏の風 おなか満腹 俳句の日
……いけないわ、いけないわ、これでは作家の肩書きも有名無実なものになってしまう。というか、私の句って、ものすご〜く正直だけど、ものすご〜く次元が低いのだわ。
f ^ ^ *)
私がもぐもぐとお料理を食べているあいだにも、新人賞等の発表がおごそかにとりおこなわれておりました。
これらの俳句は、もちろん、「本当の俳句」でした。
ここで、小澤克己主宰の一句、
阿修羅像 見てきて沙羅の 花白し
今回は『絵本のように』の出版記念もあわせて、ということでしたけれど、私ども遊絲社も反省と勉強を重ねて、句画集というジャンルにまだまだチャレンジしてみたいと思います。
2006年7月17日 溝江玲子
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