てんくうねこ【天空猫】
世界を作りはじめて6日目、すでにやる気をなくしはじめていた神さまは、まだ『人』をお作りになっていませんでした。というわけで、最高傑作である猫に人の半分だけを似せて、残りの半分を……まあ、やっつけ仕事でお作りになりました。神さまは、猫に似せた半分の人を女、残りのやっつけ仕事の人を男と名付けました。
猫族に対する男どものやっかみを恐れた天空猫さまは、神さまの怠惰にあきれながらも、光に色なるものを添えられ、人々が楽しめるようにいたしました。
その当時の天空猫さまは、まさか人々が、世界におけるありとあらゆる違いを見いだしては、喜びではなく、自分たちではないものを発見し、踏みつける理由にするとは、とうてい思い至らなかったのでした。
かくして、さまざまな色……とりわけ白と黒は、人の世でもっともポピュラーな残酷さの、根強い根拠となったのでありました。
おお、なんという光!