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チャイコフスキー交響曲からムソルグスキーの蚤の歌CD感想(2004.11.18)

中学生のころ、何かといえば私にからんでくる同級生がいた。
例えば、私がチャイコフスキーの4番を聴いているというと、
「チャイコフスキーみたいに大げさで女々しい音楽を聴いてるのか」
と言ってさんざん馬鹿にするのである。
彼はどうも、徹頭徹尾、私のことが嫌いだったようなのである。まあ、嫌いなのはしかたがない。私だって、そいつのことが好きじゃなかったのだから。しかし、嫌いだというだけで実害はないのだから、こういう場合はお互い迷惑をかけたりせず、それぞれ幸せに暮らしたいものだ。
からむのはどうにもかんべんしてらいたいものだ。本当に閉口した。教室でおとなし〜くうつむいているネクラな私に、わざわざ難癖をつけてくるのだから、何かよっぽど我慢ならないことがあったのかもしれない。
この子がまた、何でもかんでもやたら詳しくて、シベリウスやマーラーといった、当時こっちが名前すら知らない作曲家の名前を出してきて、徹底的に私をこき下ろすのである。くやしくてマーラーの歌曲の聴いたら、これがさっぱりわからんでなあ……。酔っぱらいの愚痴にしか聴こえんでなあ……(大人になってマーラー好きになったよ)。
他にも、左ピッチャーで誰が好きかという話題で、ファイターズの木田投手と答えたら
「普通はバファローズの鈴木啓示と答えるやろ。ものを知らんな
と言われたこともあったなあ。
ほっとけちゅうねん。好き嫌いのハナシやっちゅうねん、泣いちゃうぞ、もう。
そんな昔のことを思いだしながら、ジャケットに描かれた素朴なロシア娘の絵に魅かれて、チャイコフスキーの交響曲三枚セットのCDを購入した。
『交響曲4、5、6』の詰め合わせセットだ。
三枚組で4千円ちょいじゃあ、お値段的にもまずまずお得であろう。
で、気楽な気持ちで聴き始めたのだが、聴いて仰天、これがものすごかった。
大げさで女々しいどころではない、めちゃめちゃキビシー、チャイコフスキーである。
指揮者は、えーと、……エ、エフゲニ=ムラヴィンスキー。演奏はレニングラード=フィル=ハーモニーつうから、本場ですな。
気持ちよ〜く歌う気、まったくないでしょ!ムラヴィンスキーさん! どこまでも厳しく、あくまでも冷たく、限りなく美しく、ですか!
わ〜……。
思わず「ごめんなさ〜い」と謝ってしまいそうな演奏だ。
わし、チャイコフスキーの5番、6番って、もちっとセンチメンタルな曲だと思っておった。
このチャイコフスキーは、あのときの同級生に聴かせてやりたいな。
いや、イヤミとかじゃなくて、彼がどう評価するのか、気になったのだ。
音楽については私はまったくの無知だけど、なんつーの? 合奏力というの? 弦楽器なんてびしーっとそろってて、聴いていてびっくりする。テンポを追い込んでがんがん鳴らしているときでも、ちびっとも乱れない。なんで〜?
いやー、世界は広いわ。フルートとクラリネットの違いもよくわからない私だけど、木管のクリアーな美しさには鳥肌がたつ。ぼーぼーと吹くんじゃなくて、びしびしと音階が見えるみたいな演奏。もう、一糸乱れぬというレベルじゃない。オーケストラがひとつの巨大な楽器になってしまったかのよう。
ほんで、きびしーの(笑)。
どひゃ〜……。ロシアは、懐が深い。

☆☆☆

実は、激安廉価版でもう一枚CDを買った。
須藤真澄センセのエッセイ漫画(単行本『天国島より』所収)を読んでいたら、ムソルグスキーの歌曲の話が出ていたのね。
曲のタイトルは『蚤の歌』、作曲は、ムソルグスキーとのことだ。
聴いたことのない歌である。
同居人(同居ねこ?)の猫ちゃんがお部屋に持ち込む蚤と悪戦苦闘する須藤真澄センセが、漫画のなかで元気よくお歌いになる曲だ。
このように。

♪のーみ ハハハハハ
のみ
ハハハハハ のみ♪

猫の蚤にかまれたかゆさは、かまれたものにしかわからない。もう、発狂しそうなくらいかゆいのだ。赤く腫れて、掻くとじくじく透明な膿が出て、いつまでも治らないのである。
そんなとき、ふと、ムソルグスキーの歌曲が胸を突くのである。
私は須藤真澄センセの漫画のファンであると同時に、ムソルグスキーもそこそこのファンだったりするので、このたび購入した。
『ロシア愛唱歌集』・赤星赤軍合唱団だ。どうでもいいけど、すんごい名前の合唱団。
(´▽`;)
実は、ムソルグスキーもチャイコフスキーと同じ、ロシアの作曲家さんである。私がベートーベンの次に買ったCDは、確か、ムソルグスキーの『展覧会の絵』だったように思う。
ピアノ原曲版と管弦楽曲版があるのだが、どちらも、大好きな曲だ。自分がピアノで弾けたらと思うくらい。
♪だーん、だだ だんだんだんだん だーんだん♪
『はげ山の一夜』も好き。
余談だけれど、私が持っている『はげ山の一夜』のCDは、レイボヴィッツ指揮、ロイヤル=フィルハーモニー演奏の少し変わった解釈のもの。
『はげ山の一夜』って、朝の鐘とともに悪魔が去り、平和の朝を迎え曲は締めくくられるのが普通の演奏なんだけれど、このレイボヴィッツ版は、なんと、朝が来ても空気中をふわふわ悪魔どもがさまよっているのだ!
すげ、コワだよう!!
(T△T)
朝が来ても悪魔どもは去らずに、空気中を不気味にとどまる。
いま的な『はげ山の一夜』で、私は気に入っている。
カップリングは『展覧会の絵』の管弦楽曲版。これも表情豊かな演奏。お買い得CDであった。
今は、ちびちびコーヒーをすすりながら赤星赤軍合唱団のロシア愛唱歌を聴いている。
♪ハハハハ♪
言ってます、確かに。
山乃内重美さんのロシア愛唱歌著作2冊を開いてみたのだが、そこには『蚤の歌』についての記述はなかった。
この曲には、日本語訳はあるのだろうか? ちなみに作詞はゲーテだそうだ。
今度、山之内さんにいろいろとお尋ねしてみよう。




『華氏911』サントラCD感想(2004.11.17)

映画『華氏911』のサントラCDを聴いている。
映画の中で、アメリカ軍の戦車兵がガンガンかけていたCDはこんな曲だ。

屋根が屋根が屋根が燃えている
水なんかいらないよ 燃やしておけ
燃えるよ 燃えるんだ
(略)
ぼくの名前はジミー=ポップでアホな白人男だ

戦車兵は、バクダッドに似合いの曲だとカメラに向かって答えていた。
こう言っちゃ憎まれ口になってしまうけど、戦車兵さん、バクダッドには、アホな白人男・ジミー=ポップなんていないと思うよ、望まれもせずに乗り込んできたあんたたち以外には。
……。映画のエンディング曲。

たくさんのひとびとが
俺たちは死んだほうがましだと言う
サタンのような気はしないけれど
きっと俺はそう見えるんだろう
(略)
屑入れのそばに
彼女は赤ん坊を置き去りにした
そして注射を打ちに行った
彼女は自分の人生を憎み
為す術もない自分を憎む

この子どももまた
決して学校には行かないだろう
決して恋することもなく
決してクールになることもなく
(略)
光りある場所は数限りない
ホームレスのために
親切で優しい機械だってある
デパートもあれば
トイレット・ペーパーも
オゾンを入れる発泡スチロールの箱も
民衆のために希望を絶やさない
という男もいる

アメリカという図体だけ巨大な、病んだ国が、世界を地獄へとたたき落とす。
物があふれたこの世界で、学校へも行けず、家もなく、ごみ箱をあさって生活しなくてはならない子どもたちがいる。
新しい生きかたを今こそはじめたい。生産手段と市場が発達した今こそ、新しい生きかたも可能なはずだ。ここは、当時のロシアの農業国ではないんだ!

さて。
今日の、イラク・ファルージャニュース。
包囲されたまま、スチームローラーのような猛砲撃にさらされている一般市民の救助のため、イラクの
赤十字決死隊
が食料や医療品を届けようと行動!
すげえ! このひとたち、すごいよ!
だが、米軍が見事阻止、というニュース。
海兵隊の大佐によると、
「救助なら自分たちでできる」
だそうだ。
ぷっ。
市街地に無差別殺傷兵器・クラスター爆弾をボコボコ落としてるくせに、救助だなんて、どのくちが言うのでしょうか。
「負傷者がいれば総合病院に連れていく」
って、病院を破壊しておいて、なんちゅう欺瞞。
クラスター爆弾やナパーム弾で体をずたずたにされた赤ん坊たちは、どうやって、あんたたちに助けを求めるんだろ? ヘルプ・ミーってか?
かたや、米軍の少尉が殺人で起訴されてる。
いきさつはこう。
まず、ゴミ収集車に米軍が発砲、炎上するゴミ運搬車から重傷の男性が逃げ出したのだが、その少尉さんは、部下に、
男を楽にしてやるために射殺
するように命令。
どし〜……。
『地獄の黙示録』そのまんま。
「銃弾を撃ち込んでおいて、病院に担ぎ込む。汚いやりかただ(マーティン=シーンふうにお読みください)」
次のニュース。
パウエル米国務長官が辞任だとか。
きゃーほ、さいなら。いいニュースとは言わないけれど、溜飲が5ミクロンだけさがる。
さらにニュース。CIAが内紛でごたごた。
CIAの内部でも、現政権のあまりの破滅的行動に危機感つのらせている一派がいるようで、あーでもない、こーでもないともめているとか。
気の済むまでやっていてください、自分の国の中で。イラクまで出張せずに。
最後のニュース。
自衛隊の駐屯しているサマワの代表者代理が、
「自衛隊の活動で利益を享受しているのは政府高官と雇用を請け負った一部の契約者だけ。自衛隊は電気や下水道といった本当の意味での復興作業はしてくれない。まあ、占領軍なんてそんなものだがね」
と言って、とっとと帰れと怒ってます。
うああ、困った。本当のことを言われてしまった(笑)。
電気や水道なんてどうでもいいこと、ばれちゃった。
石油石油石油。
耳なし芳一みたいに、全身に石油って書いてあるようなものだから、すぐばれちゃうんだね。
日本国民のひとりとして、有権者のひとりとして、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。




『華氏911』続編のはなし(2004.11.16)

昨日、映画『華氏911』のDVDの映像特典ディスクを観ていたのですが、スウェーデン人のジャーナリストが撮影したという、米軍の非人道・非人権行為の映像おぞましさに、今さらながら衝撃を受けました。
いや、正直なところ、
ナチも真っ青ですね。
住宅にいきなり戦車でのりこむ。住民をしばきあげる。ゲリラ掃蕩という名目の、よっぴいての住民狩りがおわると、部隊ごとに集合して今日の戦果を自慢しあう。
拘束した住民たちの頭から砂袋をかぶせて、性器をいじって笑いものにする、脚の悪いじいさんの脚をぞんざいに動かして痛がらせる。
おまえら、いじめっこか!!!
ひとの心というものが、あるんか!!!
こんな不快な場面は出くわしたことがなかったと、スウェーデンのジャーナリストさんはショックを受けておりました。
特典ディスクに収録されたイラクの子どもたち、生まれたばかりの赤ん坊たち、彼らの映像が流れるたびに、私は涙が止まりません。
米軍のファルージャへの無差別虐殺はつづいております。
米軍は地獄絵図と化した市内から脱出してきた市民をも銃撃、病院も爆撃、状況は凄惨を極めているようです。
クラスター爆弾で傷ついた子どもを助けようにも、路上に出ればみな撃ち殺されます。
なんとか助け出せても、治療するための病院は瓦礫の山。
たまらん。
ほんま、たまらん。
そんな世界情勢ではありますが、マイケル=ムーア監督が『華氏911』の続編を作ると発表したようです。タイトルも決まっていて、なんでも『華氏911と2分の1』だとか。
アメリカ国民は情報が不足していて、自国内やイラクで何が起きているのかよく知らないひとがまだ51パーセントいる。そのひとたちに真実を知ってもらいたい、という目的で続編を作るのだ、という意味のことをムーアさんはおっしゃってます。
う〜む、本当に、へこたれないひとだ。
みなさんは、もう、『華氏911』観ましたよね?
早く観ないと、続編が楽しめないよお。
DVDも発売しているけれど、この映画はやっぱり映画館で観たほうがいいので、どこか上映している映画館を見つけたら即、行って観てみてください。
とにかく、観なきゃ始まらない。
観ましょう。




高山智津子著『女教師愛ひとすじに』感想(2004.11.14)

高山智津子先生の自伝『女教師愛ひとすじに』をリピート読書した(繰り返し読んだということね)。
高山智津子先生の女教師時代のエピソードが主な内容だ。本文466ページという大著だが一気に読める。泣ける。
勇気、元気、活気、人間の善意。小さな幸福をなんのためらいもなく周囲と分かちあうことの純粋な喜び。恥ずかしながら、読んでいて感動に胸がうち震えてしまうのである。
もともと私は、「女性の人生もの」というジャンル大好きなのだが、これは名著ではなかろうか。
高山智津子というひとりの女性が実際に過ごしてきた日常の蓄積された時間、そのなかで出会ってきた多くの注目すべき人びとといった要素の抽出の仕方が、この本は極めて的確なのだ。いち教師が、悩み、失敗し、悦び、笑い、驚き、感心し、涙し、義憤に燃える、そうしたさまざまなエピソードが、ディティール豊かに、追体験できるしかけになっている。
実は、この本は絶版本である。内容の充実度からすれば、信じられないような話だが、
大丈夫、きっといつか、再発行されるはずだ。
ということで、再発行される日まで、内容について私がここであれこれ言うわけにもいくまい。
ただ、子どもたちを二度と戦場に送るまい、という当時の若い教師たちの誓いと願いを、私たちは今こそ再び思い起こさなくてはいけないと、それだけは書いておく。




『華氏911』DVD発売されましたよ(2004.11.13)

アメリカ軍のファルージャ総攻撃は、病院も診療所も無差別爆撃。
市内は民間人の遺体と負傷者で大混乱なのだそうですが、救急車を呼ぶこともできないとのこと。
でしょうなあ。
アメリカ軍は、病院どころか、墓地まで攻撃してるとか。
おはかですよ、おはか。
なんかもう、私の想像を超えた空前絶後の救いようのなさに、ひたすら虚脱。
アナン国連事務総長はあいかららず攻撃中止を訴えていますが、このたびにいたっては、とうとうロシアや中国までが、「ちょっと、そりゃ、やりすぎちゃうの」と懸念を表明しました。ロシアや中国みたいな国が青ざめるんだから、イラクは本当にひどい状態なのでしょう。
で、我が国の某小泉首相はというと、このファルージャ無差別攻撃を
「成功させないといけない」
とおっしゃっております。
どはあ! 身も凍るような恐ろしいせりふをこうまできっぱりと言い切るその頭脳には、ある意味、感動すら覚えたりします。
あのー、多数の民間人が犠牲になっているんですけど、という記者の問いに対しては
「テロリストグループが混乱させようと動いていますから」
というお答え。
さっそく我が家の辞書を引いてみると、テロリストの定義はこうなっているのよね。

【テロリスト】
 (英terrorist)
テロリズムの信奉者。特に、一定の政治目的をもつ団体に属し、計画的に反対派を暴力で倒すことを目的とする者。

テロリズム【テロリズム】
 (英terrorism)
 一定の政治目的のために、暗殺や暴行、粛清などの直接的な恐怖手段に訴える主義。暴力主義。また、その行為。

えと。
素朴な疑問なのですが、大量破壊兵器はなかったと公式に認めつつ、ありとあらゆる国際法を踏みにじってイラクで軍事行動を推し進めているアメリカ政府は、この場合、テロリストグループと呼んでさしつかえないということでよろしいのでしょうか。
それとも、ちまちまこそこそと暗躍するテロリストと同一視しちゃプライドがゆるさないので、
テロ国家
とか、
テロ政府、
はたまた
テロ有志連合
なる新語をご用意したほうがよろしいという趣旨のご発言でしょうか。
ああ〜、混乱するウ(笑)。
私の頭はすっかり混乱してしまったので、情報整理のために、マイケル=ムーア監督の映画『華氏911』のDVDを購入いたしました。
私は、好きな小説や漫画を何冊も買うという癖を持っていますが、うちの弟は、なんと、マイケル=ムーアの映画DVDを2つずつ購入していっております。
アホか!(いや、ワシも同じようなものか)。
兄もアホなら、弟もアホということで。
世界平和のためと思えば、安い買い物だよね。



私たちが手首を切らなくてもよい理由(日本語版)(2004.11.9)

マーラーからハイドンの『戦時のミサ曲』にCD を変えて、繰り返し聴いている私の近況。
世界中を絶望の底へとたたき落とした今回のアメリカ合衆国大統領選挙ですが、ここにきて予想どおり、なにやら怪しげな不正選挙疑惑の報道が流れ始めております。
やっぱりというか、がっかりというか。
前回は貧困層や黒人たちの選挙権を不法にはく奪したことなどが問題になりましたが、今回は、電子投票機のはじきだしたうさんくさい数字に、人びとの視線はあつまっているようです。
電子投票が実施されているところでは、例えば、民主党員の巣窟のような地区でも、皆が皆、のきなみブッシュに投票しているようなのですが、どうしたのでしょうか? 民主党員はそろいもそろって機械音痴で投票のための操作をあやまったか、毒電波でとつぜんブッシュ氏に投票したくなってしまったのでしょうか?
電子投票を実施している別の地区では、投票総数の6倍もの票が、ブッシュに投票されていたりするようです。
えーと、例えばある村で総勢100人の人間が投票に行ったとして、開票してみたら600票がブッシュに投票されていたということですね。
ちょっとまてい、数字があわんぞ!
うああ。
その500票はどこからやって来たんだあ!!!
具体例をひとつあげると、オハイオ州フランクリン郡ガハナ地区というところでは、638人しか投票しなかったのに、投票機がブッシュ氏4258票、ケリー氏260票とはじき出したそうです。
これ、どういう数字よ。機械の誤差とか、そういう範囲を超えてるよ、いくらなんでも。
しかも、4年前と同じく、見えない有権者たちはこぞってブッシュに投票する不思議。
どうも、電気たちは共和党員らしいです。
そんなわけあるかいな、あんたとはもうやってられんわ、ほな、さいなら! ……というわけにいかんのよなあ。
こんなこと言っているあいだにも、イラクのファルージャではアメリカ軍が猛攻撃を開始。数百人単位で民間人に死傷者が出ているようです。
かんべんして、本当に。
今、ネットサーフィンなどに興じていると、マイケル=ムーア監督の日本語版サイトにも、『手首を切らなくてもいい17の理由(日本語訳)』がアップされてました。
英語さっぱりな私には、非常にありがたいです。
リンクしておきますので、みなさまも、どうぞ。
http://www.michaelmoorejapan.com/




私たちが手首を切らなくてもよい17もの理由(2004.11.6)

ブッシュが大統領選に勝ってしまい、あちこちの家々や町工場には、うなだれた半旗がしょんぼりと垂れ下がっているそうです。
まるでお通夜ムードのアメリカ合衆国ですが、何が起きたかに気づいているひとたちにとっては、うなだれる首もあればこそ、という心境でしょう。
私もブッシュ当選決定後は、ずうっと『マーラー交響曲9番』をエンドレスで流して、お通夜気分を満喫しまくっております。
そんなこんなで、陰々滅々とした気分にひたりつつも、気掛かりなのはマイケル=ムーア監督の身の安全。
私はものごっつ心配性なので、不安が不安を呼び、昨日から何度か彼のサイトにアクセスしていたのですが、さっき、彼の最新のコメントがアップしてありました。
(私の英語力なので、まちがってたらごめんよ)。
まず、ムーア監督は、兵士たちの名前(おそらくイラクとの戦争で死んでいったひとたちだと思う)を挙げて、
「いつか彼らが僕たちを許してくれることを願う」
って書いた。
ブッシュが再選されないことを願いつつ、死んでいった兵隊たち。最前線にいる彼らこそが、嘘の理由の戦争の実態をよく知っていたりするんですね。
ムーア監督の映画『華氏911』にも、そんな兵隊さん、いたよね。ブッシュが再選されないことを願いつつ死んでいった若者が。
ムーア監督は、この選挙の結果を、彼らにすまなく思っているんだと思う。
それから十数時間後、今度は、私たちにあててこんな文章を書いてくれた。
題して、
「あなたが手首を切らなくてもいい17の理由」
……ワシ、涙が止まりませんでした。
悲観するな、顔を上げて前を見よう、この選挙結果からだって、たくさんのポジティブな兆候が見て取れるぞって、ムーア監督、わしらのこと励ましてるのな。
●若者はみんなブッシュのやり方に反対してるよ、
とか、
●ブッシュを指示したひとたちの88パーセントは白人だったけど、50年後には黒人が大多数になるからそれまで頑張ろう、
とか、
●ブッシュのおかげで、11の州でゲイが結婚できなくなったけど、買う必要がなくなった友人への結婚祝いについて考えて、安堵しよう、
とか。
読んでいて、『ベロだしチョンマ』思いだしちゃったよ。
泣きながら笑った。笑いながら泣いた、っていうあれ。
ムーア監督、あんた、ものごっつ落ち込んではるだろうに。世界一強大な国家権力に、カメラひとつで対等に渡りあって、今日まで頑張っていたんだもんね。
でも、今日も、いつものムーア監督でいてくれるのな。
わしらを励まし、笑わせ、希望を持とうって、言ってくれるのな。
私は英語がからきしなので、こちらのムーア監督の公式サイトに飛んで、ムーアの言う手首の切らなくてもよい17(!)の理由をごらんくださいませ。
こちら↓
http://www.michaelmoore.com/
あかん、涙が止まらん。
えっと。
みんな、聞いてもらえるかな。
今月の12日にムーア監督の映画『華氏911』がDVD発売されるんだけど、できたら、みんなも買ってもらえない?
日本に住むわしらがムーア監督のこと応援できるのって、これくらいだから。
DVDだけの特典映像もついてくるし、Amazonで買ったら、今なら20パーセント引き。すっごくお得。
大丈夫、ものすごく、面白い映画なんだよ! 買って損することなし!
カンヌ映画祭で上映したときは、エンドロール後、満場総立ちで20分間拍手なりやまずだったほどに、面白いんだ。
20分間だよ!
学校の朝礼だったら、必ず誰か貧血で倒れてるよ!
手も真っ赤に腫れちゃうだろうな。
♪貧血でふらふらしながら、腫れた手で拍手しているひとびとの図を想像してごらん?(ここ、ジョン=レノンの『イマジン』のメロディーで歌いあげる)
どれだけすごい映画か、わかるっしょ?
ゴー、ゴー、ゴー!




ショック状態つづく(2004.11.5)

ブッシュが大統領選に勝ってしまって、私の周囲はみな、どよ〜んと暗い顔。
いや、もう、みながみな、ショック状態でうつむいたままで、わかりやす〜く落ち込んでいます。
私だってそうですよ。4年間ふて寝できるものならしていたい。
アメリカ合衆国では、ブッシュ政権の金持ち優遇政策で公立学校の音楽・美術・体育の授業が廃止され、予算不足でトイレには紙すらないような学校も多々あると聞く。電球がなかったりな。
どんどん学校を閉鎖するので、一部の学校に子どもたちがぎゅう詰め。どうしても教室が足りないので、紙のないトイレが教室がわり。嘘みたいな話だが、本当なんだって。
予算がない、物がない、ないないづくしのうえに、教師の給料や施設などの維持費削減のために、夏休みだけがどんどん増えていくというありさま(子どもは喜ぶかもしれんが)。
アメリカではすでに、実質上公立学校制度は崩壊しつつあると言っていいようです。
ひどい話だが、日本も対岸の火事と笑っていられない。
小泉氏ご自慢の「三位一体」改革もこの線を狙っていまして、義務教育費の国庫負担をやめちゃおうとか、公立校制度を破壊するためのアイディアをどんどん提案していらっしゃる。
なんともまあ、どこまでもブッシュさんとご趣味があうこと。
ショック状態のこちとら、失笑する元気もありません。
中山文科相さんは、
「教育勅語、再び」なんて熱心に言って回ってるし。
うへえ。教育勅語!!
21世紀のこんにち、天皇制国家への封建的な忠孝精神を、子どもたちに再び教育することになろうとは。
どうなってしまったんだろうなあ、この世界は。
結局、一番の被害者は子どもたちなんだよね。
それがなによりも腹たつよ。
しかし、不思議なのは、アメリカ国民の2人に1人が反ブッシュという事実があるのに、どうしてこういう結果になったのかなのよね。
日本だって、年金法改悪には90パーセントのひとが反対だったし、自衛隊派兵の際にも80パーセントのひとが反対したし、派兵延長にだって、63パーセントのひとが反対している。
で、どうしてこうなるわけ? なぜ選挙結果に反映しないわけ? 一番の謎だが、はっきりしているのは、反対派の多くは選挙に行かないということ。でないと数字があわないもんね。
金もうけだけを考えてる弱い者いじめが大好きな連中は、目的がはっきりしていて、マッチョで、自分の行動に迷いがなくて、ガッツがあるんだな。
連中のその自信満々な話しぶりに、「このひとたちは何をすればいいかよく知っていそうだ、安心して任せられそうだ」なんて周囲のひとたちもついつい勘違いしちゃうんだね。
自信満々で語るその内容は、「教育勅語の復活」てな、他愛のない土着的右翼思想でしかないわけなんだけど。
連中にはお金もうけという具体的な目標があるから、仲間同士連帯しやすいし、チームワークも抜群だ。
平和主義者は、平和って何だろう? 幸福って何だろう? って自問自答するひとたちなので、軟弱で、はっきりしない。まあ、そこがいいところなんだけど、大衆にぜんぜんアピールしないんだよな。
すぐ仲間割れするし。(^_^;)
「もうけ話があるぜ」「よっしゃのった!」というノリに説明は不要だけど、平和っつーのは、根気よくみんなで話しあい、理解しあい、という段取りが必要なので、なかなか面倒でもある。
その面倒さが、民主主義というものなんだけどね。
あ、私は民主党orケリー氏が平和主義者って言っているわけじゃないですよ。
というよりも、むしろ、実質的に野党不在の二大政党制の馬鹿らしさに、多くのアメリカ国民は嫌気がさしているのだと。
日本でも、自民党に票入れても民主党に票入れても結果同じというあんばいで、あほらしくて投票率がどんどん下がってますよね。
アメリカもそういう有り様なんです。で、キリスト教右派とか、お金持ち連中とか、かちこちの反共主義者とかだけが熱心に投票して、国はどんどん右傾化する……。
今回は投票率が高かったので、もしや、と思ったんだがなあ。この流れは止まらんか。
ともかく。大統領選挙の結果がこういうことになってしまって、私は、チョムスキー氏やマイケル=ムーア監督たちの身の安全が心配だよ。
みんなで守らなきゃ、チリのアジェンデじゃないけれど、消されてしまうんじゃないかと、不安でしかたがないんだ。




アメリカ大統領選結果(2004.11.4)

アメリカ大統領選は、ブッシュ氏で決まりました。
どわ〜。
いや、もう、腰が抜けそうでっす。
今アメリカは、極貧層の人口が史上最大に増え、犯罪発生件数も史上最悪だったパパ・ブッシュ時代に迫る勢い。これをまた4年続けるって、持ちませんよ、アメリカも、世界も。
コイズミ氏が首相をやっている日本国民としては、アメリカの有権者の皆さまにあれこれ文句を言う資格はないとは思いますが、しっかし、何を理由にブッシュに投票を……。
呆然としつつ、ちょこっと調べてみました。
CNNのアンケート調査によると、
中絶禁止、ゲイ結婚の反対
などの政策が、ブッシュ指示の大きな理由なんだって。
ほげえ。
戦争や赤字なんかそっちのけ、というのは、日本もそうなんですが、中絶禁止、ゲイ結婚禁止の世界に、アメリカ人の皆さまは本当に住みたいのかね!
やー、驚いた。
妄信的なキリスト教右派が、彼らの理想とする世界を着々と造りつつあるんだろうね。
中絶は殺人だ! と言って、中絶を行なった医師をつぎつぎ殺してまわっていたりして、しかし、あんたらのやっているのも殺人じゃないの? ……なーんてつっこんだら、悪魔呼ばわりなんだろうな。
『デビルマン』みたい。悪魔狩りだ〜!! とか言って。
「主は異民族との対話や協調を望まれていない」
って、しかし、どうよ?
人種差別発言を神の名を借りてほくほくと語る。さぞ、誇らしいことでありましょう。
彼らの言うとおり、この世界は神様がお造りになったのだとして、白人以外のあらゆる民族も神様がお造りになったと、どうして考えないのだろう。彼らの言っていることは、創造主への冒涜じゃないの?
「主は異民族との対話や協調を望まれていない」って、じゃあ彼らの主とやらは、何を望んでるってんだろ?
争いと、ファシズム?
「そうなんですよ!」と喜色満面に答えられちゃいそう。




アメリカ大統領選と南米で起きていること(2004.11.3)

アメリカ大統領選は、ブッシュ優位のようですね。
どわー。まじですか。
4年前と同じように不正選挙なのでしょうが、警官がなりふりかまわず、手分けして黒人の家を一件一件回って
「選挙行くなよゴラア! 行ったらしょっぴいて、ボコボコにすんぞ!」
と脅して歩いているというニュースを拝見するにいたって、もう、アメリカ合衆国も地に落ちたと確信する次第。
しかし、不正だろうが何だろうが、勝利してしまえばブッシュが国民の信任を得たということになるわけで。
つーか、これから4年ももちませんよ、世界は。
「聖書のハルマゲドンを実現するために核戦争を起こそうキャンペーン」に嬉々となっているキリスト教右派などが、大きな顔をして跋扈する現アメリカ合衆国政府をなんとかできるのは、アメリカ国民だけなんだな。
なんとかしてください、ほんと。
しかし、自分で書いて再度驚いたんだけど、核戦争を望んでやまない教徒たちを見て、雲の上のキリストはどう思うんですかね?
一部とは言えこんな連中のために、もういっかい、彼が地上に降りてくるとは思えんな。


てなことを言っているあいだに、南米はウルグアイで、左翼政党が政権をとってしまいました。
あのウルグアイが! さすがの私も、びっくりです。
ブラジル、ベネゼエラ、アルゼンチンにつづいて、左翼政権は南米で4国目。
猛烈な強迫観念にかられ、末期的な世界拒絶症になっているアメリカにとっては、失禁しそうな事態ですな。
実際アメリカは、ベネゼエラの自治に介入し、恥知らずにも無理矢理もう一度選挙させたのですが、さらに得票差が開いて赤恥。
CIAの皆さまは今ごろ、
「南米の共産化を食い止めるために、国家転覆だー!」
なーんて、こめかみから血を吹きださせているのではないでしょうか。
いや、南米の近代史は、アメリカの国家テロと謀略と軍事力による政権転覆の歴史ですから、南米諸国は近隣としっかり手を結びあい、警戒をおこたらないようにしなくてはいけませんね。




2004年10月28日の日記(2004.10.28)

イラクで日本人が誘拐された。
48時間以内に自衛隊が撤退しないと殺す、との要求だ。
それを受けての小泉首相や、民主党の岡田氏らのコメントを皆さん聞きましたか?
私は、あれらのコメントをここに再録する気にならない。
地球人はここまでおぞましい存在になることもできる、ということを、彼らはそれぞれの立場から証明して見せた。
岡田氏は、自衛隊の派兵には反対だが、誘拐犯に屈するのはいやなので、撤兵に不賛成なのだそうだ。
意味不明の理屈だが、その理屈を振り回した最後の結論が、つまり「死ね」つーこと。
……。悪魔の辞典か何かを読んでいるような気分。
恥を知らないのにも限度がある。
いや、限度なんて、とうになくなってるのか。
「大量破壊兵器から世界を救う」「民主主義を守るため」「無限の正義」「復興支援」……我々のなんと崇高なことか。
もう、あれこれ言う気力もない。
最後に、マイケル=ムーアの発言を引用したい。

「第二次大戦後、日本は、世界で平和のたいまつのような存在だったはずだ。60年間大事にしてきたものを、ブッシュの貢ぎ物にしてしまった。それで日本はより安全になったのかい?」

むしずが走るくらい、危険になりました。ハイ。




父ちゃんの地震募金活動秘話(2004.10.27)

新潟中越地震ですが、ニュースによると、今も震度5前後の余震が続いているようだ。
間の悪いことに、雨も降って、ライフラインの復旧も大幅に遅れているとか。
昨日うちの父ちゃんが、お仲間さんたちと駅前で被災者援助の募金活動を行ったのだが、帰ってくるなり、
「いや、最近の若者に対する認識を改めなくちゃアカン。100円10円と額は少なくても、中学生や高校生たちの多くは、募金に積極的やった。無関心、無感動の若者たちと言うけれど、じっさいひとりひとりに出会ってみると、違うもんやな」
と申していた。
私の父ちゃんはテレビが言ったことは何でも信じちゃうひとなので、募金に応じる学生たちの姿は大変な驚きであったようであります。
募金に協力していただいた皆さま、ありがとうございました。


さて。
アメリカ合衆国の大統領選挙の投票日も一週間を切った。
選挙戦前半では再選確実と言われた現大統領のブッシュ氏だが、ここにきて、どうも状況が変わりつつあるようだ。
先日、ニューヨークタイムスにぼろかすに書かれ(マジ、ぼろかすなのよ)、とうとうワシントンポストにまでたたかれだしたとのこと。
あちこちのテレビ番組も「いやー、実は最初からブッシュは信じらんないって思ってたんだよ」なんて言い出しているらしい。
おせえよ!
とは思うが、こうした情報からも、アメリカ国民の怒りの度合いが急激に高まっているさまが見て取れるというもの。
しかし、ブッシュ政権をどこまでも全肯定する某国某首相は、この事態をどのように受け止められているのでありましょうか?
アメリカ国民の怒りが、太平洋を越えて日本にまで波及することはまずないとは思いますが、世は、デジタル情報化時代。しつけのゆきとどいた日本国民も、突然ブチ切れる時がやって来ないとも限りません。いや、ほんと、飼いならされたペットのような国民だからって、あんまりいじめすぎると、窮鼠猫を噛むでいつ暴れだすやもしれません。しかも、おとなしい連中ほど、怒ったときは手がつけられないもの。
その点、重々、お考えになってくださいませ。
と、某国某首相にいらぬ進言をばしてみたわけだが、話をアメリカにもどそう。
エミネムという人気ラップミュージシャンがいるらしい。
このエミネムの反戦、反ブッシュのミュージッククリップが発表されていました。
ラップは、ファッションがチンピラっぽいというか、やることが頭悪いんちゃうか、と思うくらい暴力的というか、どうもおっかないというイメージが私にはあって、あんまり……というか、ぜんぜん聴かないんだけれども、ラップはおっかなくても、反戦、反ブッシュには興味が大アリな私。
さっそくアクセス。
これ。
http://boss.streamos.com/qtime/interscope/eminem/encore/video/mosh-rev/300_mosh-rev.mov
QuickTime形式のものにリンクしておきます。
ウインドウズメディアプレイヤー版もあるんだけど、某社製品には、自己の安全保障上、極力タッチしたくない(笑)。ウインドウズユーザーのみなさまは、ごめんどうですが、QuickTimeplaerをダウンロードしてご鑑賞してくださいませ。
短編アニメとしても非常によくできている、なかなかの力作と見た。
でっち上げの理由でイラクに派遣された兵隊の家族が、政府の金持ち優遇政策で貸家から追い出されるなどのエピソードが、数分のアニメのなかできっちり描かれている。
英語さっぱりな私でも、メッセージはよく伝わりました。
ラップは、もともとは、黒人たちの反逆メッセージを音楽に託すというジャンルだったという情報を、最近まんがによって得まして、なるほど、反戦、反ブッシュはラップの面目躍如と言ったところなのかも。
ちなみに、日本のラッパーたちは、いかがなされているのでしょうか?




『村上かつら短編集』&『ブラックジャックによろしく』感想文
(2004.10.26)


気がついたらいつのまにか『村上かつら短編集1』が発行されていた。
読んで字のごとく、漫画家、村上かつらセンセの短編作品集だ。
私は、村上かつらセンセの短編作品のファンだ。
若手作家の短編集が単行本として発行されることは、現実には難しいというのはわかっていた。だから、ファンとして、あちこちの漫画雑誌に読み切りという形で掲載された短編のいくつかを、私は、切り抜いて大切に保管している。しかし、それでも、デビュー作ほか、いくつかの作品が手元にない。
手元にない、というのは、ファンとしては残念な事態だ。そういう事情もあって、なんとか作品集として一冊の本にまとまらないものかと、ずっと思っていた。
しかし、知らないあいだに、出版されていたのである。
短編という分野が基本的に読み切り・読み捨てという形でしか成立していない業界において、超人気漫画家ならいざ知らず、短編作品が単行本として発行されるということは、村上かつらセンセの短編作品が、世間でそれなりの評価を受けているという証拠なのだろう。
村上かつらセンセの作品に登場する女性たちは、たいていつらい女性たちだ。せつなく、つらい女性たち。
青年漫画誌、という枠組みの中で、彼女たちは年齢的には若い女性たちだ。つらい気持ちの女性、つらい立場の女性。とにかく、彼女たちは、つらい立場に立たされている。登場する女性たちが抱えるさまざまなつらさのディティールづくりに、私はいつも感心する。
村上作品の物語の中に姿を現す女性のつらさ、というものに私は強い興味を持っている。
つらい女性を描くのは、なにも、女性に対して恨みがあるとか、サディスティックな作風だとか、そういうことではけっしてない。女性に対する強い共感があるからこその、つらさ、なのだ。
実は、つらい立場に立たされた女性を、きっちり描ける男性作家は、そうそういない。
これは、共感力の差なのだろう。
しかも、村上かつらセンセ自身はそうした自分の資質、--女性に対する共感力や、つらい女性を描かせれば天下一品であるところなど--に気がついていない様子なのが、読んでいて面白い。
村上センセには、もっともっと、つらい女性を描いてほしい。というのは、私のひそかな希望だ。
青年漫画雑誌の読者層という大きな壁があるのは理解しつつも、40歳代、50歳代のつらい女性も、可能ならば描いてほしい。40歳代の女性だって、つらいことがいっぱいある。そのつらさを、村上センセに描いてみてほしい。
男のつらさは、居酒屋に行って耳を澄ませていれば、たいていわかる。または、ヘミングウェイの短編を3本ほど読めば、たいてい網羅できてしまう。
女性のつらさは、そうはいかない。
女性に対して強く共感している漫画家さんの描く女性のつらさ、という少し入り組んだ文学的楽しさを、『村上かつら短編集1』から得ることができる。
この短編集には、私が大傑作と思っている『仮スマ未満』が収録されていなかった。どういうわけだろう?
『村上かつら短編集1』となっているから、2巻の予定もあるということなのだろうか?
楽しみである。


で。
購入した漫画は他にもあるのである。
聞いて驚け、見て笑え〜! (ここ、『おじゃる丸』の小鬼のトリオふうに)。いや、笑うのは違うけど。
(;^-^ゞ
佐藤秀峰センセの『ブラックジャックによろしく』10巻!!
この作品については、あれこれ言ってもはじまらない。
とにかくまず、読むしかない。
日本の極端な右傾化と、腐敗と言ってもいいほどに低下したモラルをひしひしと感じる今日このごろではあるけれども、そのなかで、このような高度に社会的な漫画作品も生まれているのだ。
腰砕けの文学界にくらべて、漫画は頑張っていると思う。
……なんて書くと、左翼の教科書的お説教漫画とみんな勘違いして敬遠するので、何も言いたくないんだな。
(;^-^ゞ
ワシが過激なことを書くからいかんのだけれど。
しかし実際のところ、めちゃくちゃに過激な漫画なのだ。
この漫画は訴えるのであります。
「病院に医療を! 社会に愛を!」
……過激っしょ?
自信たっぷりにお奨したい漫画です。




眠れない夜(2004.10.21)

1962年のキューバ・ミサイル危機は、みんな知ってるよね?
全面核戦争・世界崩壊の寸前まで行ったあの瞬間。
アメリカ政府によるキューバへの
テロ攻撃(詳しくはウイリアム=ブルムの『アメリカの国家犯罪全書』をどうぞ)
から端を発し、最終的には、キューバのソ連ミサイル基地をめぐって、アメリカとソ連が一触即発。
10月27日。アメリカの駆逐艦がソ連の潜水艦を攻撃!
うわ〜、はじめやがった〜!
ソ連の潜水艦に、核を積んだ魚雷による反撃命令が!
ボタンを、ぽちっとな。
どがーん!!!!!!!!!!
どくろ印のキノコ雲。
おしまいだ〜!
と、なるはずだったのだが。
ソ連潜水艦の士官ワシーリー=アルキポフは、なんと、そのとき
核兵器使用を拒否。
世界を滅ぼす引き金をひくのを、ワシーリー=アルキポフは拒絶したのだ。
あっぶね〜!
奇跡みたいな話。
100回に99回は、一巻の終わりという状況だで。
ワシーリー=アルキポフさんの決断には、このさい、ほんと、感謝しとくよ、細かい事情はぬきにして。
彼は、人類を救ったよ。
しかし、現在の世界の情勢は、この1962年キューバ危機と同程度に、危機的時期なのだそうだ。
キューバ危機と同程度って……。
問題なのは、アメリカ政府の軍事行動と、結果として世界中に核兵器をばらまく強圧的な外交戦略なんですよね。
しかもアメリカ政府は、トルコ政府のクルド人、ロシア政府のチェチェン人への不法逮捕、暗殺、テロ、拷問、つまるところ民族虐殺を承認!
コロンビアでは科学兵器使用!(これじゃあフセインのこと、とやかく言えないんじゃあ……。過去にはベトナムでも枯葉剤を撒いたしよ)。
国連は出る幕なし! 国連、骨抜き!
考えると、眠れなくなってしまった。
すげ、コワだよう。
眠れなくなったので、コンスタンチン=コスタ=ガウラス監督の『戒厳令』という映画を観た。
しかし、これがまた、怖い映画なんだよう。
南米はウルグアイ。
アメリカから派遣されてきた拷問、テロ、弾圧のプロたちが、地元警察と協力しながら不法逮捕、暗殺、拷問を繰り返しているという
実話物語
(i々i) コワー
しかも彼らの最終目的は、市民の弾圧にとどまらず、議会民主制度そのものを破壊することだった、という
実話物語。
(i々i) コワーコワー
アメリカ政府が、そのときそのときの自国の都合に合わせて、南米やアフリカの政府を転覆して回っているのは有名な話なんだけれども、ま、そういう映画なのね。
じっさい、南米やアフリカの小国が民主化しようとすれば、かならずアメリカがテロしにやってくるので、アメリカ合衆国が存在するかぎり
「南米&アフリカでの民主国家成立は今のところ不可能」
と言われてる。
この映画は、実際におきた事件をもとにした、いわば、再現フィルム。
それがめちゃコワなんだよお。
『Z』のときも思ったけど、イブ=モンタンの演技がしぶくていいんだよお。
ガクガク、ブルブル。
アメリカも、こんなことばっかりやってるから、旅客機がビルに突っ込んでくるんだよお。テロを根絶させたいなら、自分がやってるテロをやめようよ〜。自分だけはテロしほうだい、よそんちがやるのはダメ! ったって、ハイそうですか、ってならないよ〜。

映画でさらに眠れなくなったので、漫画でひとごこちつこうと、アーロン=マッグルーダーの『ブーンドックス』というアメリカの翻訳漫画を読むことにする。
序文をマイケル=ムーアが書いてるということで購入した漫画なんだけれど、面白すぎだよう。
これじゃあ、面白すぎて眠れない。
ヒューイ=フリーマンという黒人の小学生が主人公。とにかく、すっごく面白いんだけど、最近出版された漫画なので、内容のネタばらししたらまずいかな。
ただ、この漫画を読んでいても感じるのは、アメリカの国民(特にマイノリティ)は、二大政党制に苦しめられているということ。
政党が実質ふたつしかなく、そのふたっつっきりの政党の、それぞれに掲げる政策が本質的に同じだったとしたら。国民は、「有権者には選択肢がある」という気分をほんのちょっぴり味わえるというにすぎなくなる。選挙に行く気もなくなるというものだ。
日本のテレビは、二大政党制、二大政党制と声だかに推奨するけれど、こうしたアメリカ庶民の声というのは、彼らには、まったく聞こえていないのだろうか?
まあ、この漫画はそうしたアメリカの事情を、多少なりとも知っていないとわからない面白さではあるかもしれないが、でも、翻訳の町山智浩さんによる丁寧な注釈&解説がついているから、安心だ。
せっかくなので、帯についている3コマ漫画だけ、ちょっとご紹介しよう。
帯に掲載しているということは、映画の予告編、もしくは、デパートの試食品のようなものだと思うから、紹介しても大丈夫だろう。

主人公の黒人の小学生(ふてぶてしい顔つき)ヒューイが、電話をかけている。相手が電話に出る。
「はい、こちらCIA」
おっと相手は、CIAだ。
「ちょっと聞きたいことがあって」
ヒューイは言う。
ブッシュ大統領が掲げた先制攻撃戦略は知っているよね」
ヒューイは、単刀直入に質問する。
CIAは返答する。
「もちろん」
そこでヒューイ。
「それってウチの弟の
「おまえは生きているだけでムカつくからブン殴る」
戦略みたいじゃない?」
「切るよ、ヒューイ」

わはは!!!
これは、CIAも一本取られたね!
ほんと、「おまえは生きているだけでムカつくからブン殴る」戦略なんてやってるから、世界がキューバ危機以来の大ピンチ状態になるんだよ。
しかし、ムーアといい、マッグルーダーといい、笑いをうまく使ってるなあ。マーク=トウェインが天国で知ったら、喜ぶかな?


眠れないついでに。
永井豪センセの傑作漫画『デビルマン』が、実写映画化されて公開中だそうだ。
私は、永井豪センセの『デビルマン』の大ファンである。
だから、観ない(笑)。
あれを映画化するのは、無理だと思うもん。
ラース=フォン=トリアー監督ならあるいは……と思ったりすることもあるが、日本の漫画を原作に彼が映画を撮るとは思えんし。
どちらにしても、原作とはまったく別物になるだろうしね。
しかし、「牧村家の惨劇」のシーンをラース=フォン=トリアーが撮ったら……。
想像しただけでおそろしい。




クイズ「世界の心配事」(2004.10.19)

突然クイズです。題して、「世界の心配事」
問い。
西暦2004年現在。世界の平和・人類の存続、という問題における最大の脅威とは何か? この危険で混とんとした時代、世界のひとびとは何を一番危惧しているだろうか?
持ち時間は1分です。考えてください。
皆さんはどうですか?
何を一番心配してます? 
オゾン層の穴? 地球温暖化?
アルカイダか? 北朝鮮か? 世界のひとたちは、どのように考えているのだろう?
ハイ、時間です。
答え。
実は、アメリカ合衆国である
……、なんて言うと、みなさんきっと、ばりばり左翼の妄想と鼻で笑われるだろう。
今、笑ったでしょ? あぶねえやつだな、と思ったでしょ?
しかし、驚くべきことに、これは事実なのであります。
2003年、タイム誌が行なった世論調査によると、ヨーロッパでの回答者の
80パーセント
が、「アメリカを世界最大の脅威」とみなしていたそうだ。
ふつう、80パーセントなんて数字、でませんぜ。
アメリカの隣国のカナダでさえ、世論調査では
36パーセント
のひとたちが、「アメリカは世界平和にとって最大の脅威」とみなしていた。ちなみに、アルカイダは21パーセント、イラクは17パーセント、北朝鮮は14パーセントという数字だった。
アメリカ、だんとつ!
2004年の現在に、もう一度この世論調査をしたら、そのパーセンテージはおそらく90パーを超えるのではないか、と言うアナリストもいるらしい。
超えるだろうなあ。
2003年1月にダヴォスというところで行われた世界経済フォーラムの年次総会の模様を伝えるワシントン=ポストのトップニュースは、このようなものだった。
「世界ではますます多くのひとびとが、
ブッシュ大統領のほうがイラクのサダム=フセインよりも世界平和にとって大きな脅威
だと考えている。……ここで議論されていたのは、イラク問題ではない」
えええ〜? アメリカ合衆国は民主主義と世界秩序のトリデ、人類のリーダーじゃなかったんですか?
……確かに、リーダはリーダーなんでしょうけどね。どういうたぐいのリーダーか、ここが大問題なわけ。
パウエルさんや日本のテレビが何と言おうと、世界のひとびとは、平和と秩序に対する強大な障壁として、アメリカ合衆国を眺めているのね。
がーん!
信じられますか?
日本の外側と内側では、別の現実が存在する。
今月17日には、ニューヨーク=タイムズまでもが、
「幾度にもわたり、誤った道筋を選んだ」
「政府を過激な右派へと転換させた」
としてブッシュ政権を批判し始めた。
ニューヨーク=タイムズが!!! 
こりゃ、アメリカの右傾化もよっぽどなんだなあと、変に感心したというか、世界のひとびとの危機感にあらためて納得。
ニューヨーク=タイムズは、財政赤字、環境政策、人権軽視などについてもブッシュ政権を批判。
「サダム=フセインに対する強迫観念は、単なる政策というより狂信的行動
と切り捨ててる。
うわあ。これだけ怒ってるなら、もっと早く怒ってほしかった。
しかし、ブッシュ政権にすりよることばかりの某国政権も、この世界の情勢じゃ、今後の身の振り方をよおく考えたほうがいいかもな……。
某国の話題ついでに。
国連の常任理事に、某・日本国がなりたがっていることも、世界の多くのひとたちは、非常に困っている。
国連はそれでなくても、大国アメリカに無視され、脅かされ、骨抜きにされてしまっているのだ。そこに、日本というプチ・アメリカが首を突っ込んできたら……。考えただけで、ブルブル、ガクガク。
「かんべんしてくれよ、まったく」と、国連のひとたちは、更なる大問題に頭を抱えているんだそうだ。
日本のテレビは、こういうこと、ちゃんと報道してる?
「アメリカの軍事行動のおかげで世界は安全になった」と自慢気に吹聴するブッシュ氏に対して、アナン国連事務総長は、「ぜんぜん安全になってない」とくりかえし反論してる。
アナンさんも、辛抱強いというか、頑張りますね。
相手は国連なんて相手にしてないのに。それどころか、「国連という組織全体も崩壊し始めた」と言って喜んでいるお国だからなあ。……ひでえ国だよ、世界のひとびとが震え上がるのも無理ないよ。
アナンさん、正直、うんざりしてるんだろうなあ。
“どこが安全になってんだよー。おめ、テレビ観てみろよー。毎日、ファルージャで死んでるのは、ほとんどが子どもを含めた民間人だよー。マジ、最悪〜。
治安は悪化、テログループは世界に拡散。おたくに名指しで脅されたイランや北朝鮮は、びびって核兵器開発に本腰いれることになっちまったし、悪いことばっかだよー。あ、テレビを観るならCNNじゃなくて、アルジャジーラね”
とでも、オイラなら言いたくなりそう。
今ちょうどロンドンで開催されている欧州社会フォーラームのスローガンは、
「もうひとつの世界は可能だ」
となっている。ここでもアメリカの帝国主義とヨーロッパ諸国のイラクからの撤兵が大きな議題。
「英国はイラク戦争で一兆円も無駄にした。そのお金があれば公共サービスを切り捨てなくてすむ」(英公務員労組ユニゾン)
「我々は積極的にイラク戦争反対、占領反対に取り組んでいる」(ポーランド医療労組)
あわわ。
日本とその外側の世界の、この温度差!



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